地方病教育推進研究会ブログ

山梨県地方病の制圧までの歴史

文庫版『死の貝』日本住血吸虫症との闘い 発刊について

 地方病教育推進研究会事務局です。ブログ第74号

 5月もあと一日となりました。読者の皆様いかがお過ごしでしょうか。甲府盆地は、昨日30度越え、今日もまた暑くなりそうです。熱中症には気を付けたいと思っています。

 写真の本は、ブログでも何回か引用した小林照幸著『死の貝』です。古い本は1998年7月20日文藝春秋から発刊されたものです。また文庫本は、今年5月1日新潮社から発刊されたものです。今回の文庫本ではサブタイトル「日本住血吸虫症との闘い」がつけられています。改めて文庫版を今読み返しています。

 文庫版の発刊に際し、小林氏は補章のなかで

 「私たちは絶滅危惧Ⅰ類に指定されて生きるミヤイリガイと共生、共存をしてゆかねばなるまい、語り継がねばならない責務を前提としたものだ。それゆえに文庫化に際し、サブタイトル『日本住血吸虫症との闘い』を加えさせて頂いた。」(P321)とあります。

 小学校教員の時、地方病の教材化を進めていたころ市立甲府病院の林正高先生にご指導を受けたことがありました。その際、林先生も小林氏の取材を受けたそうで「地方病の授業を進めているあなたのことを小林さんに言いました。そちらに取材に行くと思います。」との手紙をいただきました。結局小林氏からは連絡はありませんでしたが。

 文庫版では医療社会史が専門の長崎大学熱帯医学研究所教授、熱帯ミュージアム館長の飯島渉先生が解説文を寄せています。その中で「山梨における住血(吸虫症)の歴史を継承するために、2023年に地方病教育推進研究会が設立され、杉浦醫院を会場として次世代に語り継ぐ、地方病を語る会が開催されるようになっている。その事務局長としてその活動を進めているのは、小学校の教員、校長として長く住血を教材として教育実践を積み重ねてきYE氏である。(同書P333)

 

 これらのことから林先生や飯島先生との関係を考えると著書『死の貝』との歴史を痛感します。

 

 「三神三朗先生を偲ぶ」の前回の続きは次回掲載します。

 

 地方病教育推進研究会

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