地方病教育推進研究会ブログ

山梨県地方病の制圧までの歴史

杉山なかの解剖願書

地方病教育推進研究会事務局です。

関東地方は、春一番が吹き甲府盆地でも昨夜(2月15日)は、強風が吹き荒れました。三寒四温の日々が続きますが本格的な春が待遠しいですね。

写真は、笛吹川から見た南アルプスの山並みです。3000メートル級の山はまだまだ冬です。

 

今回のブログは、表題の通りなかの解剖願書について掲載します。色々な文献に出ていますが、今回は、小林照幸著『死の貝』から一部を引用します。実物は、横浜市立大学医学部寄生虫学教室の菊池滋先生のもとにあります。(森下薫著『ある医学史の周辺』P240)

 

死体解剖御願

西山梨郡清田村

戸主 杉山源吉養母

杉山なか 当五拾四歳

 私儀泰平ナル御代二生存スルコト既二数十星霜ヲ経過スルモ無教育ナルヲ以テ末ダ會テ君恩ノ万分ノ一ダモ報ゼザル二一朝病ノ為不帰ノ身トナラシメンコトハ遺憾至極ト存候然ルニ不幸ニモ昨二十九年六月頃ヨリ疾病二罹リ悩ムコト甚ダシ、  〜省略〜

死后ㇵ是非共貴院二於テ解剖被成下充分ノ病原発見セラレ以后該地方病二罹リ悩ム処ノ数多ノ諸氏ヲ助ケ、医学上永遠二妾ノ寸志ヲ遺保セラレンコトヲ懇願至候。依ッテ本日ヲ以ッテ戸主并親属立合連署ノ上御願申上候也。

                       明治三十年五月三十日

                       右戸主 杉山  源吉

                       右 夫 杉山  武七

                       右本人 杉山  なか

                       右親属 向山  太平

                        〃  戸沢 近太郎

 

 

届け出た翌日から翌日からなかは昏睡状態になり、死体解剖御願書が遺言となる。なかは6日後の6月5日に死亡した。

                   小林照幸著『死の貝』P36からの引用

 

山梨県初の解剖例の噂が広まり見学の申込みが殺到したそうです。その様子を次回掲載します。

 

お知らせ

NNS甲府CATVで明日からNNS特別番組 「今、伝え残したいこと 〜地方病の歴史を未来へ〜」が放送されます。

山梨県内での放送になりますが、本研究会の活動を紹介する番組となっています。興味のある方は、放送局もしくは事務局までお問い合わせ下さい。

放送日時 2月17日〜25日  13:00〜  19:00〜

20日19:00〜 24日13:00〜は休止

 

問合せ先 NNS日本ネットワークサービス

TEL 055−251−7113

 

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