地方病教育推進研究会ブログ

山梨県地方病の制圧までの歴史

改めて地方病流行終息宣言の時を振り返る

 地方病教育推進研究会事務局です。(ブログ第81号)

 昨日から甲府盆地は雨模様です。特に今日の雨は時より激しく降っています。皆様の地域はいかがでしょうか。豪雨による被害が起きないことを切に祈るばかりです。

 

 前回のブログ(第80号)で日本住血吸虫の中間宿主であるミヤイリガイの生息調査について投稿しました。今回は山梨県山梨県地方病撲滅対策促進委員会)の「今後の地方病対策について(答申)(1996年ー平成8年2月13日)の一部ミヤイリガイ(宮入貝)に関する部分を紹介します。

 なお、答申を受けて天野建知事は、地方病流行終息宣言を2月19日に出しました。

 

 第3 宮入貝対策

 これまで、地方病対策の中心的役割を果たしてきた殺貝事業は、感染貝の根絶と日本住血吸虫の生活環の遮断により、地方病の流行の抑制を目的に実施されてきた。

 感染貝の根絶のための殺貝は、流行期においては患者を減少させるために極めて有効であった。

 更に、長期に渡る対策は、貝の生息地域を減少させるとともに感染源の減少と相まって流行の再発を抑制してきた。

 しかし、新たな感染者が発生しておらず、また、感染源がなくなっている現在、殺貝事業の存続についての検討となった。

 1 殺貝事業の検討

 殺貝剤の散布を始めとする各種の殺貝事業や農業形態の変化などにより、宮入貝の生息地域は縮小し、高密度生息地域も半減した。

  宮入貝生息地域面積の変化(筆者編集)

 昭和60年度 市町村数-12 面積-1,890(ha)

 平成  9年度    市町村数-  9    面積-1,302(ha)

 2 今後の対応

 殺貝事業は、地方病の流行を抑制することが本来の目的であり、この目的がすでに達成され、流行が終息したと考えられる現在、事業継続の必要はない。(下線:筆者)

 しかし、地域住民の不安を解消するために、今後、数年間は、宮入貝の定期的な生息調査等を実施することが望まれる。

 

 この頃新聞各社は、連日地方病に関する報道がなされています。(写真、山梨日日新聞1996年3月18日付け)

 地元紙のみならず、全国紙の地方版にも掲載されていました。社会科の教材化に活用したことを記憶しています。

 

 地方病感染の猛威も流行終息宣言で、地域住民は安心して生活ができるようになりました。しかし、その半面現在はその歴史は忘れられ、風化の道をたどっています。私たちの研究会は地方病の制圧史 (撲滅史)を次世代に伝えることを最大の目的に活動しています。

 

 地方病教育推進研究会

 事務局長