地方病教育推進研究会ブログ

山梨県地方病の制圧までの歴史

歴史から学ぶー新聞記事から②

 地方病教育推進研究会事務局です。

 このところ朝夕は、甲府盆地もやっと秋の気配を感じさせるような気温となっています。夜のエアコンも使わなくなりました。皆さんのお住まいの地域は、いかがでしょうか。

 前回ブログ9/21では、2018年(平成30年)6月12日号、山梨日日新聞の記事の前半部分を紹介しました。当時山梨県地方病治療研究会のメンバーであった巨摩共立病院名誉院長の加茂悦爾先生の言葉を引用させていただき、当時の地方病流行終息宣言にまつわる県の事務局とのやりとりを掲載しました。

新聞記事の続きを引用します。

 

 加茂が地方病の研究に携わり始めたきっかけは1本の電話だった。巨摩共立病院(南アルプス市)に勤めていた30代のころ、杉浦医院の受診歴がある地方病患者が来院したため、治療法を確認するため同医院の医師、杉浦三郎に電話をかけた。杉浦は加茂を同医院に招いて実情を説明。地方病に関する研究を勧められた加茂は、母校の信州大学医学部病理学教室に通って、世界中の文献を集め、動物実験を繰り返す日々を過ごした。「早朝に自宅を出て、大学で研究をし、その日のうちにとんぼ返り。体力的にも厳しい日々だった」

 加茂は、約10年かけて日本住血吸虫病と肝硬変の関連についてまとめた論文を仕上げた。70年代にはドイツの製薬会社が開発した錠剤の治療薬「プラジカンテル」の臨床試験に携わり、安全性を確認。73年には県地方病治療研究会のメンバーとなり、流行終息宣言に合わせて同会が発行した診療マニュアルの執筆に携わった。

 国内では撲滅された地方病(日本住血吸虫病)だが、世界保健機関(WHO)が2017年に発表した推計では、15年に世界で6650万を超える人が治療を受け、予防的治療が必要な人は2億1800万人に上るとされる。

 加茂は県内の一部地域に今なお宮入貝が生息していることを指摘し、警鐘を鳴らす。「日本では過去の病気になりつつあるが、再び感染した宮入貝が見つかる可能性はある。専門的な知識や治療法をしっかり伝えていくことが必要だ」

 

 宮入貝は現在なお甲府盆地の一部に生息しています。加茂先生は、とても大事なことを今に生きる私達に残してくれたと思います。地方病に限らず感染症に対しては、すべて言えることではないでしょうか。新型コロナウイルスは 変異を続け生き残りをかけています。報道を見ると5類に移行した後色々なイベントや観光地で開放感に浸っている人を見ます。本当にこれでいいのかなと思っています。

 

地方病教育推進研究会

事務局長