地方病教育推進研究会事務局です。(ブログ第108号)
山梨県昭和町は地方病の流行地であり、長く本病に苦しんだ歴史があります。
前回までのブログで地方病対策の結果、ホタルの幼虫の餌となるカワニナも生息できなくなり、天然記念物である昭和町のゲンジホタルも姿を消したことを紹介しました。
「昭和町源氏ホタル愛護会」は、昭和63年(1988)に発足しました。約50名のメンバーで、町教育委員会に事務局を置き社会教育団体としてスタートしました。
以来、毎年ホタルの幼虫を河川に放流し生育を促しています。また近年では、ホタル幼虫の放流と「昭和町ホタル夜会」を杉浦醫院庭園で開催しています。
「昭和町源氏ホタル愛護会30周年記念誌」が平成30年(2018)に発刊されました。
目次を見ると
ホタル合戦、地方病とホタル、源氏ホタルの特徴や成長など57ページの記念誌となっています。
愛護会会長のA 氏の言葉を一部編集し、その思いを掲載します。
ある初夏の夜、枕元に一匹の大きな源氏ホタルが幻想的な光を放ちながら舞い降りて来ました。そしてホタルは「私たち昭和町で可愛がられたきましたが、皆さんを悩ます地方病を撲滅するため宮入貝が殺貝され、私たちのエサとなるカワニナもいなくなり、河川もコンクリート化されて川藻や岸辺の雑草もなくなり卵を産む所も、幼虫がさなぎになる土手も無くなってしまいました。そのうえ都市化が進み町は大変明るくなりましたが、私たちホタルは明るい所では住めないのです。」と言って何処かに飛んで行ってしまいました。
その時ハッと目が覚め、夢を見ていたことに気付きました。
ホタルは現在の昭和町の自然環境では棲息するのは不可能で、人工的な手法でホタルの育成を手助けしていかなければなりません。今後もこの活動を継続して町の象徴ホタルを守り育てていきたいと思います。
写真は、ホタル育成のポスターです。
昭和町風土伝承館杉浦醫院編『地方病を語り継ごう』には、ホタルと地方病に関する体験記が多数掲載されています。
改めて地方病との闘いの中でホタルが生息できなくなった環境を今また取り戻そうとする地域住民の熱い思いを感じます。
地方病教育推進研究会
事務局長